今回は参加人数が13人と、かなり多人数になりました。取った部屋が少し小さかったので、想像以上に密になってしまったのが少々心配でした。前回の交流会の人数からしてそんなに人数こないと思ってこの部屋にしておりました。

急に人数が増える理由としては、やはりコロナ感染者が減っていると集まりやすいのかな?というのは以前から感じていたことです。2022年11月に入りましたが、今少しずつ全国で感染者が増えつつあります。次の波が来るともいわれているので、感染対策にはご注意ください。

コロナ対策については事前に「定期交流会」のページで告知している通りです。マスク、手洗い、換気、検温などです。

幸いコロナに感染したという話は、今回の交流会が終わってから4日経っても出ておりませんので、ひとまず安心といったところです。

やりたいことが多すぎる場合にはどうすればいいか?

創作交流会に来られる方の傾向として、「一つのことだけやる」タイプの方と「いろいろやるタイプの人」とおられます。

一つのことだけというのは、絵を描くなら絵を描くだけ、小説なら小説だけ、という人です。

もう一つの「いろいろやる」という方が問題でして、一人で絵を描き、小説を作り、音楽も作り…というタイプです。複合して制作できると、総合芸術に手が届きます。例えば漫画、アニメ、ゲーム制作など。

ここでよく聞かれる話が、「完成しない」という問題です。何かというと、やることが多すぎるのです。多数のジャンルのスキルを一人で習得するのも非常に大変ですが、仮にあらゆるジャンルのスキルを高度に身につけていたとしても、制作時間は膨大なものになりがちです。

例えばゲーム制作で、仮に絵を描く人、音楽を作る人、プログラムをやる人と3人で分担作業をしたとします。これらの作業を仮に一人でした場合、単純計算で作業量は3倍になります。3倍の時間がかかるでしょう。これだけでもかなりきついので、仮に全てのジャンルのスキルを自分が身につけていたとしても、作業を分担する方が完成までの時間が短いため、頓挫する可能性が減ります(完成するまでの時間がかかればかかるほど、頓挫する可能性は上がります)

もっと極端な例を考えてみます。昔プレイステーションでファイナルファンタジー7というゲームが発売されましたが、仮にあれと同じレベルのゲームを作ろうとしたら、どれくらい時間がかかるでしょうか?

実際のところは知りませんが、仮にあれが100人で制作され、5年で完成したゲームだとします。すると単純計算では、これを1人で全部制作すると、500年かかることになります。

もちろんハードウェアやゲームエンジンも以前とは比較にならないくらい現代は発達していますので、これは計算として単純すぎますが、これは物の例えでして、要は「完成不可能な作品を作ろうとしている」ことがよくあります、という例え話です。

以前も話題になりましたが、どこかのニュースで「ゲーム制作者たちが初心者にアドバイスするとしたらなんというか?」というネットの記事で、全員がほぼ同じ答え「まず最小限のゲームを完成させること」「本当にやりたいことは後回しに」というのがありました。

これはおそらく、「不可能な計画を立てないための練習」だと思います。まず最小限の単位で制作し、どれくらいの規模を想定すればどれくらいの時間がかかるのか、ということを把握する練習です。実際のところ、最小規模まで切り詰めても、想像以上に時間がかかるものです。

時間の感覚がだんだんつかめてきたら、今度は人を集めてゲームを制作してみてもいいでしょう。当然、一人で全部制作すれば、規模に比例して制作に時間がかかるようになります。

重要なところですが、本当にそれだけの時間を作れるかどうか、ということを考えますと、規模が大きくなるにつれてプロジェクトが途中で挫折する可能性も上がるでしょう。大規模ゲームを作る場合の計画は、とにかく慎重になる必要があります。「達成不可能な計画を立てている」ことは避けなければなりません。

またこれはゲーム制作だけでなく、漫画制作やアニメ制作についても同じです。

大規模ゲーム(または漫画・アニメ)を1人で作るには?

ここではあえて「1人だけでゲーム(またはアニメ・漫画など)を作る方法を考えてみます。

人を集めて指揮するのは面倒です。どこかで人を募集し、人が集まったら依頼する内容を指示しなければなりません。思った通りのものができるとは限らないし、コミュニケーションミスやトラブルが起こるかもしれません。

また無料でしてくれるとは限らず、報酬の有無の交渉も必要かもしれません。報酬額が用意できるかどうか、また出て行ったお金を取り返せるくらいの売り上げがゲームの販売によって取れるかどうかなど、考えるべきことはたくさんあります。

もっと簡単に試してみる方法はないか、探してみましょう。昔はゲームやアニメは多人数で制作するのが当たり前でしたが、現在はハードウェアの発達や制作エンジンの改良などで、一人でもできる範囲が多くなってきています。

ゲームエンジンとジャンルの選定

ゲームを作るときはたいていゲームエンジンというツールを使うのですが、同じジャンルのゲームを作るのでも難易度や制作時間がかなり異なります。大人数でも使いやすく、「なんでもできる」エンジンは、たいてい複雑で難易度が高く、習得に時間がかかります。エンジンの使い方を覚えるだけで途方もない時間を消費している時間はありません。

例えばRPGなら有名な「RPGツクール」が有名です。習得は簡単で、素材が大量に用意されており、初心者に非常に優しいツールです。これに対してUnityというツールは、3Dゲームから何でも作れますが、基本はプログラムや3DCGを使うので、習得が恐ろしく困難です。使い方を覚えるだけで頓挫しかねません。

ノベルゲームなら「ティラノビルダー」などが定番で、だいたいどんなジャンルでも、個人で使えるゲームエンジンは定番がありますので、まずはそこをよく調べてください。

エンジンを間違えると途方もない時間をムダにするので、まずここで間違えないように注意しましょう。

そして、そもそも個人で作れないジャンルのゲームというのがありますので、これには手を出さないようにしましょう。例えば3DのRPGゲームは、1人で作ると本当に途方もない時間がかかってしまいます。よほどスキルのある人(プログラミングと3DCGについて)ならできるかもしれませんが、普通の人は手を出さないほうがいいです。

あまりにも妥協できなくて永久に完成しない、というのはよく聞く話ですが、本当に絶対に完成させたいのであれば、妥協点を見極めることが重要です。

フリー素材を使う

フリー素材を使えるかどうか考えてみてください。ゲーム制作において、画像・映像制作にかかる時間が非常に大きな割合を占めます。全制作時間の9割が画像制作、なんてこともあります。

イラスト素材などはそのゲームのオリジナル素材が必要かもしれませんが、ゲームの背景やシステム、BGMやサウンドはフリー素材でまかなえることもよくあります。

時間を少しでも減らすために、フリー素材を使えるところでは使いまくることをまず考えてみてください。

フリー素材の入手先は「フリー素材 イラスト」とかでグーグル検索してみても良いのですが、そもそもゲームエンジンに最初からついていることがあります。有名なツクールシリーズでは最初から素材が大量に同梱されていますし、ツクールのホームページから追加で購入することもできます。

Unityというゲームエンジンでは、専用の素材置き場が用意されており、膨大な量の3Dモデルやスクリプトが用意されています。いきなりスクリプトや3Dデータを自作するのではなく、まずはこの辺りを探してみて、必要であればお金を出して購入することも考えてみてください。莫大な時間がかかるところを、数千円出せば一瞬で終えられる可能性があります。

SE(サウンドエフェクト)は自作するのが難しいので、ぜひ素材サイトで探してみてください。

AIでイラストを生成する

フリー素材を使うのに似ていますが、最近出てきたサービスで、AIでイラストを生成するサービスがあります。Stable Diffusionのようなサービスを使えれば、背景素材を一瞬で制作することができます。

ただAI画像生成は、思った通りのものを出すのが難しいという問題があります。やはりキャラクターデザインはAIには頼れず、自分で作る必要があるかもしれません。しかし背景、特に遠景の背景はAIに作らせると早いです。一人で10時間以上もかけて精密な背景を描くより、AIに描かせることを考えてみてください。背景素材を20枚自作して200時間かけるより、AIで20枚作って30分で終わるほうがいいと思いませんか?

AIで音楽を生成する

音楽に関してはフリー素材で頑張って探せば十分だと思いますが、なんとなくフリー素材を使うのが嫌な場合、「AIVA」というサービスでAIで音楽を作らせることもできます。ただこのサービス、あまり長い凝った構成の曲を作らせることはできません。またデータのダウンロードは、現時点では1ヶ月に3曲のみ無料ででき、それ以上のダウンロードは有料になります。

あまりおすすめできる方法ではないので、やはりフリー素材でまかなうのが良いかと。

テンプレートデータを改造する

Unityには「完成されたゲームデータ」を配布している素材があります。つまり、これを改造して自分のゲームを作ってもいい、ということです。

大規模な作品であるほど、ゼロから作るよりもすでに出来上がったものを改造するほうが早く作れます。

プログラミングの世界では「フレームワーク」というものがあり、いわばプログラミングにおけるテンプレートです。これを改造して作ることで、ゼロから作るよりもはるかに早く作ることができます。

ゲームでも同様で、使ってもいいテンプレートがあればどんどん使っていきましょう。

ただし当然ですが、テンプレートは自分の作ろうとしているゲームを構成が似ている場合にのみ使うことができます。そこは見極めが必要です。

もし過去に自分が作ったゲームデータがあれば、同じ構造のゲームを作る場合は、その過去のゲームを改造して作ると当然早く完成できます。

時間の管理をする

いよいよ制作に入るわけですが、その前にまず時間を含めた計画を作っておくと失敗しにくいです。

慎重に計画したつもりでも、いざやってみるととんでもない時間がかかる計画を立てていた、ということがありえます。

少々慣れが必要ですが、まず各過程において、内容をそれぞれかかる時間を書きます。時間は予想でいいです。

例えば私は今動画制作をしていますが、以下のような計画を立てました。

真ん中の数字は、かかると予想されている時間です。一番下が合計値で、つまりこのプロジェクトは全部で51.5時間かかると予想されているわけです、

では51.5時間はどれくらいの時間でしょうか?仮に1日3時間を制作に使うとした場合、17日くらいかかります。1日2時間なら26日です。1日1時間なら52日(1ヶ月と22日)と予想できます。

この合計時間が、例えば1万時間とか出たら、まず完成しないものだとわかりますね。合計時間が1万時間で、1日3時間ずつ休みなくやったとしたら、3300日かかります。9年です。プライベートを毎日3時間つぶして9年間を使ってそれでいいのであれば、このプロジェクトを進める価値はあるかもしれません。

しかし9年かかるプロジェクトは、頓挫する可能性は非常に高いということも重要です。9年後の自分の年齢がいくつで、なんの仕事をしているか(今とは違うかもしれない)、一緒に過ごしている人はだれかとか、変わっている可能性があるので、そのたびに計画が変更されたりすると、更に時間がかかる可能性もあります。突然親が倒れたりして、介護に駆り出されるかもしれません。単純に数年後にゲーム制作に飽きているかもしれないし、基本的には短時間の計画のほうが、予想通りに進みます。

スケジュールに入れていく

何時間かかかるかを出すだけでは具体的にならないので、スケジュールの中にこれらを入れていきます。例えば私はグーグルカレンダーにやるべきことを入れています。

こんな感じでやるべきことと、ついでにそれにかけるべき時間も入れています。私はIT系の勉強もプライベートでやることがあるので、そういうのも入れています。

やるべきことがたくさんある場合、手当たり次第に手を付けるといつまで経っても終わらないことがよくあります。そういう場合、それぞれにかかる時間を出し、合計時間も出し、1日にかける時間を決めていくと、終了する日程も予想できるので、「永久に終わらない」という問題を防ぎやすいです。

またこれらの計画は常に修正が必要です。はっきりいって計画通りにいかないことのほうが多く、そのたびに「それぞれの作業にかかる予想時間」「やるべき日にち」を変更する必要があります。私は1週間に1回、計画の修正を行っています。

これらを繰り返していると、だんだんカンが良くなってきて、かかる時間やスケジュールの入れ方もうまくなり、予想通りに進むようになります。慣れないうちは予想通りに進みません。計画をたてるのも一種のスキルです。

計画を遂行するのに、「フンッ!」と気合を入れたりする必要はありません。認知行動療法という心理療法の一種で、「具体的に計画を立て、一定期間おきに反省して修正、また計画を立てる。これを繰り返す」というものがあります。具体的に計画を立てるだけでやる気が出て、無計画なときよりも遂行される確率がずっと上がります。やるべきこととそれによって出る結果がはっきりしていない場合、やる気が起きないものです。注意点としては、1日にこの計画を何度も見て確認すると、更にうまくいきやすいです。計画は当然、忘れてしまうと実行されにくくなりますので、忘れないように何度も確認します。

こういうやり方は、いわゆる仕事でいう「マネジメント」みたいなことで、業務はうまく行きやすいけどもあまり楽しいものではありません。

作業を純粋に楽しみたい方で、計画など立てなくてもうまくいくような人は、こんなややこしいことをしないほうがいいかもしれません。